はじめてのMikuMikuDance!

管理者:工藤P  MikuMikuDanceこと「MMD」の初心者向け操作解説ブログです。

動画を作ってみよう!・8~表情モーフの操作

ほとんどのモデルには「表情モーフ」というものがついていて、表情を様々に変化させることができます(「モーフ」とは「変形」という意味です)。
表情だけではなく、モデルによっては小物をつけるかつけないか(武器を持つ・持たない、メガネをかける・かけないなど)をモーフによって選択できるようにしてあるものもあります。
モデルをダウンロードしてきたら、どんなモーフがついているか確認するのも、MMDの楽しみのひとつですね!


表情モーフの操作自体は、非常に単純で簡単です。


●表情モーフの操作手順


1. モデル操作パネルで、表情をつけたいモデルを選択する。

2. 「表情操作パネル」で、動かしたい部分(目・リップ・まゆ・その他)から、「<<」「>>」の部分を押すと表情モーフが切り替わるので、付けたい表情に合わせて選択。

3. スライダ部分を動かし、「登録」ボタンを押す(Enterキー不可)。

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(使用モデル:zeze式ミク)

登録ボタンを押すことによって、フレーム操作パネルにキーが打たれます。
ボーンと同じで、その部分はその表情で固定されたことになります。




※表情モーフ操作に関するいくつかの注意点※


1. 表情モーフも動きが補間される


例えば、ずーっと目を開けたままで踊っていたミクさん、100フレーム目まで来て「ここで目を閉じさせたいなー」と思ったとします。
100フレーム目まで来て、そこで「まばたき」モーフを使用し、目を閉じさせ、「登録」しました。
するとどのようになるでしょう。
ミクさんは、「100フレーム目でパチッと目を閉じる」のではなく、「0フレームから100フレーム目までかけてゆーーーーーっくりと目を閉じる」ことになります。

表情モーフは、ボーンの動きと同じで間が自動的に補間されます

なので、100フレーム目で初めてパチッと目を閉じさせたいのであれば、「99フレームまでは目を開けている」と設定しないといけません。
99フレームに移動し、「まばたき」のスライダを動かしていない状態で「登録」し、100フレーム目で「まばたき」スライダをMAXまで動かして「登録」すれば、「0から99までは目を開けている、100フレーム目でパチッと目を閉じる」という状態になります。

実際はそのように1フレーム単位で閉じ・開けをすると不自然になりますので、場合に合わせて微調整をしましょう。

試しに、「目を閉じて、開く」という表情をこのくらいの間隔でキーを打ってみました。
(まばたきスライダの数値を、まばたきなしで0,MAXを100として表現しています)

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20フレーム: まばたき0
28フレーム: まばたき30
30フレーム: まばたき80
32フレーム: まばたき100
39フレーム: まばたき100
42フレーム: まばたき30
47フレーム: まばたき0

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このようにグラデーションを描くように設定していくと、不自然にパチパチしたようにはなりません(※ただし、勢いの表現などもありますので、細かくなだらかに設定すればいいというものでもない!)。
自分のイメージするところに従って、何度も「再生」して確かめましょう


2. 組み合わせが過ぎると破綻する

スライダを動かすだけで変形するのが面白くて、あれもこれもと色んな表情をいっぺんに登録しすぎると…

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(「笑い」:100 「なごみ」:50 を同時に適用した状態)

このように、モーフ同士が喧嘩しあって、おかしな表情になってしまいます。これを「破綻」と呼んだりします。

目が歪んでなくなったり、口がホラーな状態になったりしたら、スライダを調節して直しましょう(「登録」を忘れずに!)


破綻は避けるべきものですが、かと言って、異なるモーフ同士を組み合わせてはいけないわけではありません。
様々なモーフを少しずつ組み合わせることによって、微妙な表情を作ることができます。

下の画像は、デフォルトで何も手を加えていないミクさんの顔に

目のモーフ「まばたき20」「笑い10」
リップモーフ「あ50」「う70」「お20」
まゆモーフ「真面目40」「怒り40」「下100」「↑↓20」

を加えた表情です。

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この程度のミックスなら破綻もありませんし、組み合わせ次第で無限にモデルの表情を生み出すことが可能です。
どんな意図をもって作ったかと言えば…

目モーフ: 少し「まばたき」で目を閉じさせて大人っぽく、「笑い」を入れてやや柔らかくしています。
リップモーフ: 「あ」で口を開け、「う」を混ぜて口の横幅を狭めにし、「お」で縦に開かせています。
まゆ: 「下」をMAXにして大人っぽく、「怒り」でニュアンスを加味し、「↑↓」で互い違いに動かし、「真面目」で更に下にさげています。


特に「目」は表情付けで非常に重要な要素となってきます。
目がずっと同じところを見たままだったり、デフォルトのまま開きっぱなしだったりすると、やはり「人形が踊ってる」という印象が抜けません。
また、モデルのデフォルトの目の開き具合は、モデルを動かす側が自由に調整できるよう、少し目を見開き気味に作られていることが多いです。
その場合、「まばたき」「笑い」をほんのわずか適用するだけで、そのままの人形っぽさを脱せることもあります。

モーフがたくさんあるモデルもありますが、私がよく使うモーフはそれほど多くありません。目はほとんど「まばたき」「笑い」だけで表情を作ります。
ですが、それらを微妙に調整することによって、豊かな感情を表現することもできるのです。

「表情付け」とはイコール「演出」です。
カメラの角度や動きと視野角、照明、モーションなど、全てと組み合わさった上での「表情付け」です。

なのでなるべく、カメラをつけたあとに表情をつけることをおすすめします。逆に言えば、カメラで見えてないところは別につける必要はないでしょう(時間短縮!)。
視野角4で撮っている正面アップのカットと、視野角45度で下から全身アオリで撮っているカットと、まったく同じ表情付けになるでしょうか?
きっと違ってくるはずです。


※上の説明を動画にしたものを置いておきますので、実際の操作の動きを見たい場合はこちらをどうぞ。

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3. 表情操作の便利なTips


●ショートカット「H」で表情キーを全部登録

表情を手付けしていく上で便利なのが、ショートカットH。Hキーを押すと、表情のキーが全部登録されます
上で説明した通り、表情も補間機能で前の動きや後ろの動きに引っ張られますので、固定しておきたい場合はこの操作が便利。
ボーン登録でいうところの「全て選択」→「フレーム登録」が一瞬で出来ます。
メニューバーからは「表情」→「全ての表情フレーム登録」という操作になります。

※注:しかし、バグなのか、pmxモデルに関してだけなぜか「PMDエディタで見た時に一番上になっている(0番になっている)モーフ」だけがこのショートカットでキーが打たれません。(pmdモデルは平気)このバグ回避のためにわざわざダミーのモーフを入れてくれているモデラーさんも居ますが、
どうやら当該モーフは「モーション保存」しても登録されない等のバグがあるようです。皆さんお気をつけください。

参考:pmxモデルの表情登録についてこのりのMMD日記


また、メニューバー「表情」を見るとほかにも「目フレーム全て削除」など、表情モーフを個別で全削除できる機能がついているのがわかります。

そして、フレーム操作パネル下からも、様々な形で表情フレームを選択することが出来ます。
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「選択表情」などが使い道が多そうです。例えば、フレーム操作パネルの「まばたき」「笑い」(Shiftキー押しながらで複数選択可能)を複数選択し、範囲を指定すれば、範囲内の「まばたき」「笑い」ボーンだけを選択することが出来ます。借りてきたモーションの「この表情だけ消して付け直したい!」という時などにいいかもしれません。


●表情大きさ補正

メニューバー「フレーム編集」には「表情大きさ補正」という機能があります。
上にあげた方法などで表情フレームを個別選択したら、ここを選択。画像のようなダイアログが出てきます。

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今の表情の状態を「1.0」とし、それより振り幅を大きくしたければ「1.2」「1.5」小さくしたければ「0.7」など指定し、「OK」にすれば、その通りに表情の大きさが補正されます。

私は、リップシンク(歌を歌っている時の口パク)モーションを借りてきた時などによく使います。
女性モデルを使用して作られた口パクは、女性モデルの口がもともと小さめなことが多いため、男性モデルにそのまま適用すると「口開きすぎ」となることがままあるので、モーション適用後ざっと見て「口デカすぎ」と思ったら、表情を全て直す前に、「あ」「い」「う」「お」など口パクに関わる表情を複数選択し、「0.7」くらいに一律で補正をかけてしまうのです。
そのあと、カメラを付けてから部分部分で口の開き具合を直していくようにしています。


●まばたきランダム登録

メニューバー「表情」の中の「まばたきランダム登録」も面白い機能です。
○フレーム目から○フレーム目、など指定して、その部分にランダムでまばたきを登録してくれます。
もちろん、登録されたデフォルトのまばたきを、自分で調整して好みの具合にしてもいいわけです。

 

次回:動画を作ってみよう!・7~avi出力とエンコード